2024/07/03
海老名市で開催され現地参加しました。海老名総合病院 神経内科 門倉彩奈先生に座長をして頂き、認知症と糖尿病に関して講演させて頂きました。認知症の修飾可能な12の危険因子の中でも、糖尿病は、特に寄与する大きな因子との報告も最近散見されます。また、糖尿病は脳卒中の危険因子となります。
脳神経内科専門医からの視点で糖尿病とSGLT-2阻害薬(特にデベルザの使用経験)の有用性を中心に講演させて頂きました。複数の先生より質問があり、非常いい講演会になりました。
目次
認知症と糖尿病の関係
認知症と糖尿病には密接な関係があるとされています。
認知症発症のリスク
糖尿病と認知症
糖尿病は動脈硬化を促進し、脳血管障害を引き起こすことがあります。これが認知症の一形態であるルツハイマー病や血管性認知症のリスクを増加させることが示されています。
血糖値のコントロールが不十分な場合、脳への影響が大きくなります。
血糖値と脳機能
高血糖状態が続くと、脳細胞にダメージを与える可能性があります。
これが記憶や学習機能に影響を与え、認知機能の低下につながります。
また、糖尿病によってインスリンの作用が低下すると、脳の神経細胞の成長や修復の機能が妨げられ、認知機能が低下する可能性があります。
インスリンは膵臓で作られるホルモンには血糖値を下げる役割があります。
生活習慣と予防
糖尿病の管理には食事、運動、体重管理が重要です。
以下の生活習慣の改善は、認知症のリスク低減にも寄与します。
バランスの良い食事
野菜、果物、全粒穀物、低脂肪のタンパク質を多く摂りましょう。
また、加工食品や砂糖、飽和脂肪の摂取は控えましょう。
血糖値を適切に管理することで、認知症のリスクを低減することができます。
適度な運動
週に150分以上の中等度の運動(ウォーキング、サイクリングなど)を行いましょう。
まとまった運動ができなくても、「いつもはエレベーターやエスカレーターだけど、今日は階段を使ってみよう」「一駅くらいなら歩いて帰ろう」など、少しの意識の変化でも大きな一歩です。ぜひ今日から実践してみましょう!
体重管理
適正体重を維持し、肥満を避けることが大切です。
急激な体重変化で認知症が発見されるということもあります。
意図せずに体重が減少しているのは、認知症が発症しているためかもしれません。
定期的に体重測定を行って、体重の変化に注意するようにしましょう。
定期的な健康チェック
医療機関で、定期的に血糖値や血圧、コレステロールをチェックしましょう。かかりつけ医を見つけ、いざという時に相談しやすい環境を作っておくことも重要です。
異常があれば、早期に対処することで糖尿病および認知症の予防につながります。
禁煙
喫煙は体の細胞がインスリンに対して反応することを妨げるため、禁煙しましょう。
また、動脈硬化のリスクを高め、脳卒中(特にくも膜下出血、脳梗塞)のリスクも高めます。
「タバコは百害あって一利なし」、健康に代わるものはありません。
十分な睡眠
1日7-8時間の質の良い睡眠をとるようにしましょう。
睡眠不足は血糖値のコントロールに悪影響を与えます。
ストレス管理
なるべくストレスを溜めないように、気分転換や息抜きができる趣味や好きなコトに打ち込むのもいいでしょう。
リラクゼーション法(ヨガ、瞑想など)を取り入れてみるのもいいかもしれません。
言われてみれば当たり前のようで「意外とできていない」生活習慣もあったのではないでしょうか。
まずは何か一つ、今日からすぐにできる簡単なものから始めてみましょう!
研究と治療
糖尿病と認知症の関係についての研究は進んでおり、両者の関係を理解することで、新しい予防法や治療法の開発が期待されています。
これらのポイントを考慮し、糖尿病患者は認知症のリスクを意識しながら、血糖管理と生活習慣の改善に努めることが重要です。