レビー小体型認知症とは?

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レビー小体型認知症は、認知機能障害の一種であり、アルツハイマー病と並ぶ主要な認知機能障害です。この病気の主な特徴は、認知機能の低下、幻覚、うつ症状、およびパーキンソニズム(運動機能障害)があります。

原因とリスク要因

原因

レビー小体型認知症の原因はまだ完全に解明されていませんが、脳内にレビー小体と呼ばれる異常なタンパク質がたまることが、認知症の発症に関係していると考えられています。たまったタンパク質によって脳内の神経細胞の機能が障害され、認知機能の低下や運動機能の障害などが起こります。

リスク要因

リスク要因には、以下のようなものがあります。

  • 年齢 
    高齢者に多く見られます。
  • 性別 
    男性に多い傾向があります。 
  • 他の神経変性疾患 
    パーキンソン病や多系統萎縮症など、他の神経変性疾患を患っている場合には、レビー小体型認知症のリスクが高まる可能性があります。
  • 環境要因 
    頭部外傷や、慢性的なストレスやうつ病などが、レビー小体型認知症の発症に関係していると考えられています。
  • 薬物療法 
    抗精神病薬や抗不安薬など、一部の薬物療法の使用がレビー小体型認知症の発症に関係しているとされています。

症状

以下の症状が、他の認知症と混同されることもありますが、レビー小体型認知症の場合には、幻覚や妄想などの症状が他の認知症よりも早期に現れることが多いとされています。

  • 認知機能の低下 
    記憶力の低下や判断力の低下、注意力の低下などがあります。
  • 知覚異常 
    幻覚や妄想、錯覚などが現れます。
  • 運動機能の障害 
    パーキンソン病のような運動機能の障害が生じます。手足の震えや、筋肉の硬直、運動の鈍化など代表的な症状です。
  • 睡眠障害 
    睡眠の質が低下し、夜間に目覚めたり、日中に眠気が出たりします。レム睡眠行動異常を引き起こす場合もあります。
  • 自律神経機能の障害 
    血圧や脈拍の変動、発汗の増加などが見られることがあります。

  • 気分の低下や無気力感、興味の喪失、自殺念慮などを引き起こす症状であり、レビー小体型認知症の患者さんでもしばしば見られます。
  • 不安
    強い心配や不安感、不安定な気分などを引き起こす症状であり、DLB臨床診断基準(2017)において、レビー小体型認知症の診断に使用される支持的特徴です。
  • アパシー
    無関心や無気力、興味の喪失、情緒の鈍さなどを示す症状であり、レビー小体型認知症の患者さんでも見られることがあります。

これらの支持的特徴が、レビー小体型認知症の診断に役立つのは、異常な認知機能の低下だけでなく、患者さんの日常生活や行動にも影響を与えることが多いためです。これらの症状を見逃さず、的確な治療を行うことが、患者さんのQOLの改善につながることが期待されています。

診断方法

診断には、以下のような方法が用いられます。

  • 病歴の聴取
  • 認知機能テスト
  • 精神状態の評価
  • 画像検査(MRIやCTスキャン、核医学検査)
  • 血液検査
  • 脳波検査

レビー小体型認知症の診断には、症状が他の認知症と似ているため、正確な診断が難しい場合があります。

治療法

治療法は、症状に合わせて複数のアプローチを行うことが一般的です。 具体的には、以下のような治療法があります。

  • 薬物療法
    治療薬にはアルツハイマー病の治療薬であるコリンエステラーゼ阻害薬や、抗精神病薬などが使用されます。
    また、パーキンソン病の治療薬であるレボドパやドパミン作動薬も、レビー小体型認知症の症状を緩和するのに役立ちます。
    ただし、これらの薬剤は症状を完全に改善するわけではなく、個人差もあります。また、副作用があるため、必ずしも全ての患者に適した治療法ではありません。
  • 理学療法
    レビー小体型認知症による歩行障害や姿勢の不安定性を改善するため、リハビリテーションや作業療法が行われる場合があります。
    パーキンソン病のような運動機能の障害が現れる場合には、運動療法が有効とされています。運動によって筋肉の緊張が緩和されることで、症状の改善が期待できます。
  • 環境の改善
    レビー小体型認知症の人は、周囲の環境に敏感に反応し、刺激に錯覚に反応したり、混乱したりすることがあります。そのため、病室や居室の明るさや音の大きさ、家具の配置などを調整することで、症状の改善につながる場合があります。
  • ケアの提供者
    認知症による認知機能の低下や運動機能の障害、幻覚などで、身の回りのことができなくなります。 そのため、ケアマネージャーや介護士などが、生活のサポートを行うことが必要です。
  • 睡眠改善
    睡眠障害がある場合には、睡眠改善のための対処が有効です。 例えば、規則的な生活リズムをつくることや、就寝前にリラックスするための習慣を取り入れることなどがあります。
  • 食事改善
    運動機能の障害によって、食事が摂りにくくなる場合があります。そのため、食事改善によって、患者が摂取できるような食事を提供することが重要です。

レビー小体型認知症は、症状や進行の段階によって異なるため、専門医の指導のもとで適切なケアを受けることが重要です。また、家族や介護者の支援も必要なため、家族や介護者が適切なサポートを受けられるようにすることが大切です。

ー よくある質問 ー

Q:レビー小体型認知症は遺伝するのでしょうか?
A:レビー小体型認知症には、遺伝的な要因が関与している可能性がありますが、明確な遺伝パターンは確立されていません。したがって、レビー小体型認知症は主に環境要因や加齢による神経変性によって引き起こされると考えられています。
Q:レビー小体型認知症はアルツハイマー病と同じですか?
A:レビー小体型認知症とアルツハイマー病は、両方とも神経変性疾患であり、認知機能の低下や記憶障害を引き起こすことがあります。 しかし、レビー小体型認知症では、脳内のレビー小体がアルツハイマー病よりも多く見られ、また視覚的幻覚や運動症状などの特徴的な症状があります。
Q:レビー小体型認知症の診断はどのように行われますか?
A:レビー小体型認知症の診断には、脳のイメージング検査(MRIやPETなど)や血液検査、神経心理学的検査、またはレビー小体を確認するための脳組織検査などが用いられます。症状や経過を詳しく聞き取ることも重要です。
Q:レビー小体型認知症の症状は治療で改善できるのでしょうか?
A:レビー小体型認知症の症状は、現時点では完全には治療できませんが、適切な治療によって症状の改善が期待されます。 薬物療法やリハビリテーションプログラムなど、多様な治療方法がありますが、症状に応じた個別化された治療が必要です。
Q:レビー小体型認知症は予防できるのでしょうか?
A:現在のところ、レビー小体型認知症を予防する明確な方法はありません。 しかし、健康な生活習慣を維持することは、認知症を含む多くの病気のリスクを低減するのに役立つことが示唆されています。例えば、バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を行い、十分な睡眠をとることが重要です。 また、社交的な活動や脳を刺激する活動(読書やクロスワードパズルなど)も、認知症のリスクを低減することが示されています。ただし、これらの方法が認知症を完全に予防するわけではありません。